片思いしていた人に10年ぶりに再会したら恋が始まりそうで始まらなかった話

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大学生の頃、バイト先のファミレスにすごく好きだった人がいた。

端正な顔だちだとか、特別親切にしてしてくれたとかいうわけではなかった。イケメンは他に何人かいたし、仕事を丁寧に教えてくれた人もいるが、好きになったのはその男だった。

先日、かれこれ10年ぶりに再会したので顛末について書く。

 

どういうところが好きだったのか、はっきりと覚えてはいない。

バイト中の嬉しかったことや片思いのつらい気持ちをブログに吐き出していたが、いたたまれなくなって数年後に削除してしまったので、今となっては当時の気持ちをそのまま思い返すことはできない。

ただ、文章にしていたからか、いくつかの場面はよく覚えている。例えば店長の目をぬすみ、ファミレスのメニューにはないオリジナルレシピを作っていたその男に「おいしそうですね」と声をかけると、「だろ?」と笑顔で返してきたこと。頭の中で反芻して繰り返した。 そんな小さなことで好きだと思ってしまう何かがあったはずだった。

だが、恋愛経験値0.5くらいの無力な小娘であったわたしは何も行動することはできず、思い出といえばバイト中の些細なやり取りのみであった。しばらくして男はバイトを辞めてしまった。

その後の人生でほかに片思いというものをしたことはない。数人の男たちと付き合ったが自分から好きだと思ったことは無かった。

そして現在も、やっぱり誰も好きになることができず、彼氏も数年いない。そんな状態を見兼ねた親友が「昔好きだった人がいるじゃないか、連絡してみなさい」と何度も言い続けてくれた。

何しろ10年間ただのいちどもやり取りをしていないし、唐突な連絡は気持ち悪がられるのではないかなどと一週間以上うだうだ悩み続けたが、親友に背中を押してもらいとうとう「お元気ですか」とLINEを送ったのだった。

 

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1時間もせずに返事がきて、LINEから電話に移行し、気がつけば夜が明けていた。

会話の流れで、当時好きだったと伝えた。何も手に入らなかったために煙草の吸い殻を拝借したことまで洗いざらい白状してしまった。

吸い殻盗み事案については「なんて不器用なんだ」と評された。不器用のひとことで片付けてくれるなんて寛大でおおらかだと思った。

過去形ではあるが誰かに自分から好きだと伝えたのは生まれて初めてのことであった。今日会話したうちの数分でもいいから、バイト中に一言か二言しか話しかけられなかった当時のぎこちない自分に分けてあげたかった。

その後、何日間かLINEや電話を継続しつつ、飲みに行こうという提案を受け、とうとう直接会うことになったのだった。

 

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いま現在までずっと好きだったというわけではないので、実際にどんな気持ちになるのかは会うまでまったく分からなかった。

再会して、普通の男だなと思った。当然だがわたしも色々な人に出会ったり経験したりしていることで感じ方は変化してるはずだが、彼の方が何か変わったのかは分からなかった。分からないほど何も知らない間柄だった。

わたしは酒は好きではないのでほとんど飲まないが、男は浴びるようにビールを飲んでいたのでたいそう酔っていた。ビールってそんなにハイペースで摂取しても大丈夫なものなのかと思った。

2軒目まで行ったあと、帰らないで一緒に寝ようという流れになってしまった。

10年ぶりの再会な訳で当然付き合ってはいない。わたしのことをどう思っているのかと聞くと、いい子だとは思うけど好きとかではないということだった。

当時好きだったと知って、いけると思ったのだろう。だが、わたしは今も好きだとは言ってないし、そもそも好きでもないのに誘ってくるんじゃねえという気持ちだが、30歳を超えた恋人がいない男女というのはこんなものなのだろうか。適当に遊ぶという選択肢もあるのかもしれないが、やはり女は消耗するだけだなと思う。

 

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好きだった気持ちを踏みにじる男であったからといって、当時のわたしの片思いの思い出まで嫌な記憶に塗り替えられたわけではなかった。

ただ、一点男に対して憤りを感じるのは、わたしの友達をがっかりさせてしまったことだ。

心配してくれている友達、この男との行く末を気にしてくれている友達になかなか言うことができなかった。こんな顛末を話したら悲しんでしまうかもしれないし、気を使わせてしまうかもしれない。全然大丈夫だよとわたしが言ったところであまり意味はないだろうと思う。

誰かに対して何か行動するときはその人のまわりにいるその人のことを思っている人のことまで想像しないといけないと自分の身を振り返るきっかけになった。

実際は悲しいとか傷ついたという感情は無く、人生はそううまくいかないよなと思っている。

わたしは結婚を目標にはしていないが、周囲からどうするつもりなのか尋ねられることも多くなる年齢になってしまっている。

結婚するには人を好きになることができる能力、「好き力」が必要であるという。人生で唯一発揮できた「好き力」が塵のように消え去った今、ここから何をどう始めればいいのか途方に暮れている。