30歳も過ぎ、世間の流行りから取り残されていると感じることが多々ある。
聞き慣れぬ若者ことば、芸能人やスポーツ選手はどんどん才能ある若い人が現れ、それに逆行しどんどん歳をとるわたしは年々新しいものを取り入れることが難しくなっていく。アーティストであれば髭男、King Gnuでギリギリである。
そんな時代遅れのわたしが存じ上げない方たちが歌う曲が、この酷い世界でも聴いている時は元気になれるような素晴らしいものだった。
「おもかげ」milet×Aimer×幾田りら
「おもかげ」は普段は個々に活動している3人のアーティストのコラボ楽曲である。
YouTubeの再生回数も2000万回を超えており、わざわざ言われなくても知っているという人も多いことだろうと思う。
わたしなど、miletもAimerは名前だけは見たことがあるかもしれないという程度。正しい読みが分からないので聞いたことはないはずだ。調べたところmiletは「ミレイ」、Aimerは「エメ」と発音するらしい。
幾田りらに至っては初見であったがこちらも調べるとYOASOBIのボーカルのIkuraとのこと。YOASOBIならばたまたま去年の紅白で見たので知っている。イクラって好物の魚卵のことかと思っていたが幾田りらという可愛い名前からもじっていたとは。
そんな情けないありさまだったのだが、たまたま聴いたこの曲がとても良かったのだ。
タイプは違うが全員ものすごく歌が上手い
音楽の良さはうまく言葉にはできないのでぜひYouTubeや音楽サブスクで聴いて欲しい。
ごく簡単に紹介すると、まずAimerのソロパートから始まるのだが、もうそこから「えっ....」としか言えなくなるくらい上手い。こんなに声に息が混ざっているのにまったく弱々しくならない、むしろ息と一緒に伸ばした語尾の力強さ。
次に入ってくるmiletの芯のある低音は初めて聴いた時は驚いた。他にあまりいないような歌声で、耳にいつまでも残る。
幾田りらのAメロもかろやかで良いのだが特に“弱者”という歌詞の表現が必聴である。
声質のタイプが違う、歌のうますぎる3人の掛け合いがそんな調子でラストまで続くので1秒も聴き逃せない。
自分の個性は消さないままに他者と調和しているところが素晴らしく、それが可能な才能を持つ人がコラボして歌として提供してくれることが大変ありがたい。
才能ある同世代がいることについて
同世代の有名人は応援したくなるものだが、わたしはこの傾向が多分にあるタイプだ。
同じ1990年生まれの星と言えばフィギュアスケートの浅田真央ちゃんで、現役時代は真央ちゃんの滑りと笑顔に元気をもらい、真央ちゃんの涙に一緒に号泣し、フジテレビの報道に憤慨したものだった。
「おもかげ」を聴いて気になって検索してみると、なんとAimerは1990年生まれではないか。こうなると一気に一方的な親近感が湧く。今年は本厄ですね、モー娘では誰派でしたか...。(わたしは圧倒的ゴマキ派)
本厄はどうでもいいのだがとにかく同じ時代を見てきた女性が才能溢れた活動をしていると嬉しいのだ。「わたしも頑張ろう」という励ましをもらうというのとも少し違う、こんな人がいるのだと知るだけで、厚かましいかもしれないがなんだかふっと元気をもらえるような感覚になる。
miletは生年月日は非公開とのことだが、少し歳下という感じだろうとなんとなく思う。
幾田りらは2000年生まれ、完全に別世代の新世代だが若いのに衝撃の上手さである、と思ったが歌の上手さに歳は関係ないことは20年以上も前に既に宇多田ヒカルで証明されていた。
元気をくれる曲
世界を見れば隣国は信じがたい情勢であり、新型ウイルスに振り回される日常は目下継続中、生活圏である新宿駅では卑劣なぶつかり男に遭遇する、生きるとは目を覆いたくなることばかりだ。
こんな世の中でまともな感覚を持ち続けていくのは困難だと思う。わたしは鈍感なタイプなので基本的には平静を保っていられるが、感受性が豊かなひとから壊れてしまうのではないかと心配になる。この世界はなんなんだろうといつも憤っている。
だが、唯一無二の声を持つ人たちがひとつの曲を歌ってくれてそれを通勤のときもブログを書くときにも聴くことができるのがこの世界でもある。こうやって自分に沁みてくるものごとを見つけながら生きていくしかない。
同じくFIRST TAKEでAimerが「カタオモイ」を歌っていてこちらも大変素晴らしかった。