【読書記録】2022年に100冊読んだOLが選ぶ今年のベスト書籍5選

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読書が趣味のアラサーOLです。

読むものはかなり偏っています。ビジネス書や新書はほぼ読まず、小説かエッセイ、それも数人の好きな作家ばかりです。

自己啓発系って読んでも「ふーん」で終わってしまうんですよね、向上心が無くて性格が終わっているので...。

それよりも情緒豊かに、感情が波立ったり逆に穏やかになるような本が読みたい。わたしにとって読書はかつて言語化できなかった気持ちを発見すること、こんな感情もあるんだっていうことを知ることなんだと、今年は改めて思いました。

2022年はKindle端末を購入したことで、社会人になっていちばん本が読めた年でした。今年読んだ100冊のなかで、ベスト5を選びました。

\オススメKindle端末/

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『新版いっぱしの女』氷室冴子

あなた、やっぱり処女なんでしょ―。「少女小説家」は嘲笑された。『なんて素敵にジャパネスク』『クララ白書』ほかベストセラーを多数送り出し、セクハラという言葉が世間に登場し始めた頃、「いっぱし」の年齢・三十歳を超えた著者。女としてただ社会に在るだけで四方八方から襲い来る違和感を、まっすぐに、そして鮮やかに描いた不朽のエッセイが満を持して復刊!

あらすじの出典:筑摩書房 新版 いっぱしの女 / 氷室 冴子 著

30年前に、当時30代なかばの著者が書いたエッセイの復刊。

女が働くということ、独身であるということ、久しぶりに友達と会うこと、理不尽な暴力に晒されること。

2022年に32歳になったわたしの心に刺さってホロホロと泣いてしまった。

当時と今とでは社会はものすごい変化を遂げているはずのに、人が(この本では女が)、やり切れない思いだったり哀しくなったり憤ったりすることは30年前から変わっていない。ということはもっともっと以前からの変わらないものなんだろうなあ、と気付かされた。

ものすごく寂しいけど、でもずっと昔からみんな同じだったのか、と思うと少し勇気づけられるような気持ちにもなる。

氷室冴子のエッセイは、「冴子の東京物語」「冴子の母娘草」の2冊も今年復刊されている。どちらもすごく面白くて、本音を言うと「いっぱしの女」と合わせて今年のベスト3は氷室冴子の復刊3冊だった。笑えるし、しかも泣けるエッセイ。大好きなさくらももこのエッセイは氷室冴子と似たものがあるなと感じている。

 

全女性に心からオススメしたい一冊。

 

『密やかな結晶 新装版』小川洋子

その島では多くのものが徐々に消滅していき、一緒に人々の心も衰弱していった。
鳥、香水、ラムネ、左足。記憶狩りによって、静かに消滅が進んでいく島で、わたしは小説家として言葉を紡いでいた。少しずつ空洞が増え、心が薄くなっていくことを意識しながらも、消滅を阻止する方法もなく、新しい日常に慣れていく日々。しかしある日、「小説」までもが消滅してしまった。
有機物であることの人間の哀しみを澄んだまなざしで見つめ、空無への願望を、美しく危険な情況の中で描く傑作長編。

あらすじの出典:『密やかな結晶 新装版』(小川 洋子):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部

小川洋子の小説は数冊しか読んだことがないビギナーだが、この本は素晴らしかった。文章は淡々とした描写なんだけど、美しくてつめたくてかなしい。サスペンス的な緊張感もあって最後までページを捲る手が止まらない。

読書中と読後の感覚は言語化できないし、自分だけの気持ちだからレビューも解説も読みたくない、という稀有な小説。

 

2022年読んだ小説のなかでは一番良かった。
Kindle Unlimitedで読めます。

 

『ぼくの死体をよろしくたのむ』川上弘美

うしろ姿が美しい男に恋をし、銀色のダンベルをもらう。掌大の小さな人を救うため、銀座で猫と死闘。きれいな魂の匂いをかぎ、夜には天罰を科す儀式に勤しむ。精神年齢の外見で暮らし、一晩中ワルツを踊っては、味の安定しないお茶を飲む。きっちり半分まで食べ進めて交換する駅弁、日曜日のお昼のそうめん。恋でも恋じゃなくても、大切な誰かを思う熱情がそっと心に染み渡る、18編の物語。

あらすじの出典:川上弘美 『ぼくの死体をよろしくたのむ』 | 新潮社

川上弘美は今年もよく読みました。

今年文庫化された「ぼくの死体をよろしくたのむ」は、人生のなかの、なんてことないけど心に残る一瞬だったり、川上弘美らしい不思議でせつないできごとに次々出会える、大好きな短編集。

 

『あるようなないような』川上弘美

「不純で鈍感な大人。けっこうわたしは、好きだ」「ときどきスランプは、やって来る」「さくら餅の、あの葉っぱはどうするのか」「寝そべってものを読む癖のある子供だった」……日常のこと、読書のこと、子供のころの思い出。優しさと可愛さと愉快さが同居する、心が温かくなるエッセイ集。未収録の一編も書籍初収録!

あらすじの出典:あるようなないような -川上弘美 著|文庫|中央公論新社

エッセイと書評が収められていてどちらもよかった。紹介されてる本は読んでみたくなるけど、電子化されていなくてなかなか読めていない。
川上弘美のエッセイは、教訓めいたこととか押し付けがましさが全く無いのでどんな精神状態のときでも読むことができる。

 

『白河夜船』吉本ばなな

いつから私はひとりでいる時、こんなに眠るようになったのだろう──。植物状態の妻を持つ恋人との恋愛を続ける中で、最愛の親友しおりが死んだ。眠りはどんどん深く長くなり、うめられない淋しさが身にせまる。ぬけられない息苦しさを「夜」に投影し、生きて愛することのせつなさを、その歓びを描いた表題作「白河夜船」の他「夜と夜の旅人」「ある体験」の“眠り三部作”。定本決定版。

あらすじの出典:吉本ばなな 『白河夜船』 | 新潮社

「白河夜船」は吉本ばななの小説の中でもとりわけ好きな作品だった。

吉本ばななほど人のこころの内が読める本って無い。こんな世の中で「あーもう感情を無にして生きよう」ってなってしまうときに読むとしゅわしゅわに沁み込んで泣ける。

いくら売れていても読んでみて個人的にしっくりこない本は、感情の描写が少ないからなんだなと気がついた。

 

 

まだまだ積読も溜まっていて、読みたい本がたくさんある。未知の本にこれから出会えることがすごく楽しみ。おすすめの本があったらぜひ教えてください。